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何枚も下駄を履いて、強い位置に自分を置く必要があった2

私について

前回書いた記事の続き。

maki-tki.hatenablog.com

結果的に言えば、私はある程度望んでいた立場で仕事をしている。
繁忙期以外の休みは自由、仕事も結果さえ出していれば勤務時間は気にしない、仕事内容の割におそらくお給料は良い。
会社として守るものが少ないので、わりと好き勝手やれる。
名目的にも事実的にもNo.2なので権力もある。
なんて言えば聞こえが良いが、ここまで来る間は日々地獄だった。

日々金がない生活を強いられるわ、
「普通の会社」じゃないが故に、普通にお給料は出ないわ、
「教育」とか全く無いわ、
休みの日でもメールやLINEに仕事の内容送りつけてくるわ、
ある程度ルール化された社会にいることの楽さとありがたさを感じた期間だった。

前職を辞めた当初

元彼絡みの借金300万、退職金は50万、失業給付金はだいたい10万くらい。これが当時の私だった。
失業給付金なんて、家賃と生活費を払ったら速攻なくなるため、まずは生きていくために、日雇いの工場のアルバイトを始めた。
一般的な面接などはなく、履歴書さえ出せば誰でもやれる仕事であることや、煩わしい人間関係はなく、都度違う仕事が出来、8時間ただ作業していれば終わるという点で非常に楽だった。
一方で私は、インターネットで募集している、リアルで集うようなイベントに積極的に顔を出していた。
朝会とか、読書会とか、そういうちょっと意識高い系の人間が参加するようなイベント。

読書会とか別に内容自体はどうでも良かったし、不特定多数の人間と価値観の共有をしたいとは全く思わなかった。
さっさと転職するべきではと誰もが思うだろうが、転職しなかった理由はただ一つ。
自分を強い位置に置くためには、おそらくただ転職しちゃダメだと思ったからだ。
一般的に募集をかけている会社は、ある程度会社という体が出来上がっており、人間関係も出来上がっている。
そこに入り込んで自分を主張出来るほど、私には根性もスキルもなかった。
そもそも「普通の会社」なら前職が待遇的にも知名度的にも最強なのだから。

世の中には、オープンで募集していない中小企業はたくさん存在する。
会社を起こそうと思うのだが誰かメンバーが欲しいと思っている社長候補もいる。
やりたいことを自分で切り開いて、全て自分の責任でやっていくことができないなら、切り開くことができる人間を利用すれば良いのだ。
全て自分でやるより制限はあるだろうが、それでも一般的なサラリーマンよりは自由な領域は増える。

何度めかの読書会で会ったのは、当時コンサル会社に勤めていた1人の男性だった。

社長

人が良さそうに見えるが、よく喋り、胡散臭い雰囲気の人。
この人に対する印象は上記のように決して良いものではなかった。
たまたま読書会で同じ班になり、彼は会の進行役として動いており、進行にも慣れているようだったが、
人の意見聞いてるのか聞いてないのかよくわからない感じで、なんというかソツがないのだがノリが軽いのだ。
ここの会は全般的に進行役なのに自分の意見を語る人が多いので、それと比べると与えられた役割をしっかりまっとうしてはいるが。

「何度か来てるよね?」
私は全くこの人に覚えがなかったが、相手は覚えていたようだ。
まぁ適当に雑談して、LINEを交換して帰宅した。
ちなみにこの時私に話しかけてきた理由をあえて聞いてはいないが、多分若い子が好きだからだろう。
私自身が落ち着いてから後々、このエロオヤジのせいで面倒事に巻き込まれたのはまた別の話。
LINEで話したり、当時は食事も困る時もあったのでご飯を奢ってもらったり、もちろんその後も読書会で会ったりと、付き合いは続いた。

ある日、私から切り出した。
IT業界で仕事してみたいんですけど、なかなか転職が決まらなくて。と。
そこからわずか数日で、私のための会社が出来た。相変わらず妙なところで運がいい。

お金がもらえない

会社が出来たからすぐに仕事が来るかというと全くそんなわけではないのは当たり前なのだが、私はそれを知識としてしか知らなかった。
実際に経験して思う。まっとうな会社は尊い

出来たばかりの会社に直接仕事を依頼する会社なんか存在しない。
よって、社長のいろいろなツテでいろんな仕事の下請けとして仕事をするわけだ。
つまり私は入った会社の名義では仕事せずに、別の会社の人間として仕事しなければいけないわけなのだから、当然その会社の人間として恥じないスキルでないといけない。

…………ということで、最初は単価なんて全く出ませんでした。

つまり、「この子勉強中だから役に立たなくて申し訳ないんだけど会議に参加させてほしい」と社長が頼み、「タダ」で会議出席したり、「タダ」で資料を作成したりするわけだ。
さすがに社長もタダで仕事させるのは…と思ったのだろう。
本当にプロジェクトとして必要なことはさせなかった。が、会議に出席し、プロジェクト状況を理解するために自分なりにメモを取る行為や、疑問点をあとで質問するなどは一般的に立派な仕事である。
出来ないくせに要求ばかりだと言われて、すぐにクビにされるのも困るからなという(実際できることはほとんどなかったし)理由から、一応我慢した。逃げる場所もないし。
(ちなみに後々新人を入れるにあたって、一般的なお給料(手取りで20万くらい)は約束するようキツく言って、そこは改善した)
何もできない新人に20万払うって会社に取っては大損。それでも育てていつか返してくれればと思って「普通の会社」は新人を採用し、育てる。
これは正直、前職にいた以前の私にはわからなかった。
給料が支払われるために仕事を取ってきて、1ヶ月人を使うのに必要な単価はこの程度で、正社員にかかるコストはこの程度で…というものを、ずっと社長と近い立場で見てきたからわかったことだ。
もちろん、普通の会社にいる人は全然気にせずとも、業績が傾かない限りちゃんと給料は保証されるし、会社のためにひたすら奉仕しろとも思わない。ましてサービス残業なんてやるべきじゃない。
ただベンチャーのような小さい会社が、自分にとってそんなに悪くない待遇で仕事をさせてくれるなら、けっこう会社も頑張っているんだって、頭の片隅にでも置いてくれたら、きっとお互いにちょっと許せることがある気がする。

幸い半年程度である程度使えるという判を押された私は、最初のプロジェクトにアサインされ、月の稼働は50%程度で手取りで25万程度もらえるようになった。
その後は担当プロジェクトの数と単価に左右されるが、だいたい50~80%稼働程度で50~60万程度で安定している。

結局強くなれたのか、何故今の立ち位置で仕事できたのか

微妙なところではあるが、ある程度お金がもらえるようになったので、「結婚相手に対する金銭的な条件」は不必要になった。
正直なところ私が結婚できたきっかけはこの仕事に就けて、この立場で仕事できているからというところが大きい。
それだけを書くとお金目当てなのかと思われそうだが、違う。それは追々書いていきたい。
あの頃のようにビクビクして生きていくことはなくなり、親にもまぁ祝福されて結婚して、お互い好きなように生きているのだから、多分幸せな方なんだろうと思う。
私自身、お金を持っているから偉いすごいとはあまり思わないが、目で見てわかるステータスで評価したり虐げられたりするなら、せめて虐げられない立場でいたい。
多分今なら元彼に会っても何も言われないし、私も動じないだろう。
自分自身に絶対的な自信はないが、少なくとも居ないと困るという立場にまで登って、上の人間とある程度話ができる立ち位置になった。
大手企業ながらも、自分の思いが伝えられず、上司の機嫌ひとつで、嫌なところに飛ばされる元彼よりは良い立ち位置にいるのだから。


また、うまくいったのははっきり言って運が良かったのと、私自身が何もできず逃げるスキルさえなかったからだ。
社長も私も、お互いのことをほぼ何も知らない状態でこういったことをやったのだから、本来はうまくいかないに決まっている。
運が良かったのは、私に逃げる手段がなかったことと、社長が思った以上に、私を騙そうとする気がなく、本人なりに育てたいと思って教育してくれたからだと思う。
タダ働きは、…思うところはあるけど、今は随分楽させてもらっているから許した。
残念なのは、数少ない友人が「騙されている」と言い、それを認めない私から離れていったことくらいか。
仕方ない。
私だって、友人が宗教に興味を持った程度ならまだいいが、自分に被害が出るようになったら正直ちょっと嫌だ。
彼女たちもきっとそういうことを考えて離れたんだから、仕方ない。

とにかく私はここで、東京のとある小さい会社で今日も仕事をしている。